僕の執筆した教則本がヤマハミュージックメディアさんから3/15に発売予定です。
既にインターネットなどでは予約受付を開始しております。
入門者のためのコントラバス教本/ヤマハミュージックメディア
¥1,512
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シエナ・ウインドオーケストラというプロの吹奏楽団で弾かせて頂くようになり、全国の学校へ吹奏楽の指導に伺う機会が増え、指導に悩む指導者の方々、そして何を練習したら良いのかすら分からない生徒さんに数多く出会ってきました。
顧問の先生が「弦楽器は分からないから」といって生徒に教則本を渡して練習を丸投げ、或いは正しい知識を持たないOBが当たり前のように間違った常識を伝えているといった状況をいくつも見て、「このままではいけない」と思うようになり、2年間かけて吹奏楽部の先生、生徒さんのお力になれるよう試行錯誤して教則本を執筆致しました。
この教則本のポイントは
①「指導者用チェックシート」
「弦楽器は分からないから」と教則本を読みもせず生徒や正しい知識のないOBに投げてしまう先生方が多いので、コントラバスの経験がない、ピアノや管楽器出身の指導者でも、教則本を併せ読みながら生徒の進度が最低限チェック出来る表をつけました。もちろん専門家のレッスンが最善ですが、部活の先生がこのシートを利用すれば、とりあえず大きく道を外さないで済むかと思っています。
②弓順のつけかた
コンクールを見ていると、強拍弱拍やフレージングに関係なく弾いている子が多く、調べてみると弓順のルールを掲載している教則本が存在しない事に気づきました。もちろんこれが全てではありませんが、プロオーケストラでは暗黙の了解となっている、最低限のヒントを解説しています。
③楽譜の読み方
実際に全国に指導に行くまで想像もしていませんでしたが、吹奏楽では「CをBと読む」コントラバスの生徒が意外と多く、衝撃を受けました。まずは正しく楽譜を読めるよう、基本的な部分も掲載しました。
④各ポジションのまとめはオーケストラスタディ
正直、吹奏楽の曲は管楽器向けに書かれている為弓順が決めにくく、また簡単なものが多く基礎が出来ていなくても何とかなってしまうので、ポジション毎の総まとめにオーケストラの曲を取り上げています。これにより、ブラームスやモーツァルト、マーラーといった作曲家に触れる事でコントラバス本来の役割を知り、音楽的な視野を広げて欲しいという気持ちも込めました。
⑤オーケストラスタディの難易度表記
各オケスタ曲には、それぞれの初心者レベルでの難易度を記してあります。それを参考にする事で「こんなに難しいのに星3つ?」とか「星5つだからすぐに弾ける訳ないよね」などモチベーションの維持・目標設定が出来ればと考えました。
⑥悪い例の掲載
ほとんどの教則本には「悪い例」の掲載が無いので、「ベースボール・マガジン」など野球雑誌によくある連続写真を取り入れ、楽器を弾くフォームの悪い例を分かりやすく解説。左手のフォームも悪い例を掲載する事で「こうなっちゃいけないんだ」と気づかせようとしています。
⑦指番号の指定
あえてフィンガリングを指定する事で、吹奏楽界にありがちな「一本指奏法」を防止し、同時に無駄のないフィンガリングを身体に記憶させるように考えました。
⑧右手の練習
本を書くにあたり、プロのオーケストラ奏者に意見を求めたとき「右手の練習を増やして欲しい」という意見が圧倒的に多かったので、開放弦の練習を多めに入れています。
⑨難しい箇所を練習する方法
「フィガロの結婚」序曲を使って、速くて難しい箇所をどのように練習するか解説しています。部活動にありがちな、何回も機械的に繰り返す練習を防止する目的です。
こうして、2年間僕が必死に考えた内容になっています。
オケスタの参考CDはつけたかったのですが、予算の都合で残念ながら見送る事となりました。
こうなると、前向きな姿勢を持った生徒さんなら読んでくれると思いますが、やらされて仕方なく、という子はオーケストラ曲を練習して「何これ、難しいし退屈」と途中で飽きてしまう可能性が否定出来ません。そんな時やはり顧問の先生の指導や導きは必要になってくると思うので、現場サイドには、何とかうまくこの本を使って頂けるようになる事を期待しています。
少しでもコントラバスに悩む学生さんの手助けになれましたら幸いです。
使ってみたご感想などもお待ちしております。
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