BRABRA2016★台湾公演!

先日、台湾での演奏会に出演してきました。

シエナ・ウインドオーケストラが昨年から行っているファイナル・ファンタジー音楽のツアーで、今年は18都市24公演、私はそのうち19公演に出演させて頂きました。このツアーは先週千秋楽を終えたところですが、それについては後日また改めて書きたいと思います。今回は台湾公演について。

私自身海外への演奏旅行はシンガポール・フランスに次いで3ヶ国目。台湾は初めてでした。
今回は2泊3日。到着日はフリー、翌日の夜演奏会を行って3日目の午後帰国する日程。


台湾に向かう飛行機でいきなり洗礼を浴びました。
とにかく空調が寒い!日本は30℃を超える暑さだったのでポロシャツ1枚での搭乗だったんですが、支給された毛布を首までかぶり、機内食のついでに頼んだワインで身体を温める始末。国が暑いからでしょうか、原則的に台湾の空調はとても寒いのです。外は物凄い湿度と気温なので、寒暖差で身体がおかしくなるのではないかと思いました。

ホテルにチェックインしてからはフリー。
とりあえず暑いしマンゴープリンを食べようという事で、低音楽器メンバーで有名店へ。

これがめちゃくちゃ美味しいのですが、量が半端じゃない。3人くらいでシェアして丁度良いくらいでした。


その後市内を散策して一旦ホテルに戻り、シャワーを浴びて一息ついたら友人と合流。
実は、台湾国家管弦楽団というオーケストラに、音大の後輩が在籍しているので、再会する予定になっていたのです。
今回テューバ、コントラバスはこの楽団から楽器をお借りする現地調達の方式を取っていたので、彼に翌日の本番会場に連れて行って頂き、楽器のある場所などを先に案内して貰いました。
会場周辺は伝統的な建築物が多く、ホールも美しい造りでした。ステージには入れなかったので、楽屋などを見て退館。

その後は彼の案内でタクシーに乗り夕食へ。

台湾の交通事情、凄かったです。
クラクションで会話をしているのではと思うくらい、そこらじゅうでクラクションの音。
我々が乗ったタクシーも、信号待ちをしているバスにクラクション鳴らしまくってました。
「いやいや、それは仕方ないやん」と思わずツッコミを入れたくなるレベル。

そして、やはり現地にいる人が連れていってくれるお店は間違いないですね。
ファイルサイズが大きすぎてブログに写真を掲載出来ないのが残念ですが、何を食べても美味しかったです。

ここで彼から聞いた話が感動的でした。

東日本大震災が起きたとき、彼は台湾でリハーサルをしていたそうです。
最初話を聞いた彼は「日本に地震はよくある事だから」と話していたそうですが、ニュースを見て茫然。
実際連絡を取れない知人もたくさんいたそうです。

それからオーケストラの仲間たちがあっという間に高額の募金を集めてくれて彼に渡してきたので、送金をしようとコンビニに行ったら、目の前で写真を現像していた見知らぬ男性が彼が手にしている現金を見て「日本に送るのか?」と聞いてきたので、そうだと返答すると、その男性は自分の財布からお金を出して「これも一緒に送ってくれ」と渡してきたのだそうです。彼は涙が出たと話していました。こうした出来事も含め、台湾はどちらかといえば日本に好意的な人が多いと感じるとのことでした。
    
さて、本番当日は早目に目が覚めたので、ホテル周辺の市場を散策。
これが結構衝撃的でした。

生肉や生魚が野ざらしの状態で売られており、衛生面が心配になりました。
アジアに住む友人なんかは「氷の上に乗ってるし問題ない」と言いますが、やはり日本に住んでいるとちょっと受け入れ難いですね。
魚売ってるおばちゃんが目の前で足の爪にマニキュア塗ってたり、いろいろ凄い。

それから、臭いがキツかった。
最初は下水の臭いかと思っていましたが、友人に訊ねたところ臭豆腐だそうです。
「台湾の人はみんな好きですよ。僕は8年住んでもダメですが」とのこと。あの臭いがしたら口に運ぶ前にギブアップしてしまいそうです。

お昼から会場入りしてゲネプロ。
私は現地調達の楽器に早く慣れたいと思っていたのですが、ホテルからホールまでの徒歩10分程度の距離も、海外だからなのか団体行動、全員バス移動が義務付けられました。
前日入れなかったステージは、入ってみるととても豪華絢爛な造りで響きも素晴らしいホールでした。

用意された楽器はあちこち割れていたり弦高がとても低かったりと問題はありましたが鳴ってくれる楽器で、悪くない弾き心地。
ラベルにはかなり古い年代が記されていましたがこれは本物かどうかちょっと怪しいかな。

ゲネプロはさっと必要な箇所だけをつまんで終了。
国が管理するホールという事で、職員が休憩を取らなければならない時間が定められており、ゲネプロ後はステージでの音出しは禁止。という訳で本番までの時間はホール内の喫茶で軽食。

さて本番ですが、まあ台湾の熱気は凄い!

植松さんの前説から大盛り上がりで、本番でも1曲終わるごとにロックコンサートのような大歓声。
アンコールではそれこそお祭り騒ぎでした。
日本国内でも場所によってはだいぶ盛り上がりましたが、台湾の比ではなかったように思います。国民性でしょうか。
日本公演ではアンコールで楽器を持ったお客さんがステージに上がってくるのですが、台湾公演は禁止。
という訳で楽器を持ったお客さんは客席での演奏でした。あの盛り上がり方でステージに上がってきたら大変な騒ぎになっていたかもしれません。

開演が19時半と日本よりやや遅めで、終演も22時くらいだったでしょうか。
楽器を戻したり着替えたりしてホテルに着いたのは23時前だったと思います。
ここから例の後輩と合流し、小籠包のお店に連れていって貰いました。


夜市の喧騒から一本横に入った寂しい裏通りにある「ウチはまずいから他の店行け」というようなふざけたお店なんですが、ここが美味しかった!!
メニューは「小籠包」「焼売」の2種類しかなくて、注文はただ数を頼むだけ。美味しくていくらでも食べられました。

我々が入店したのは閉店間際だったのでお酒が売り切れていて「そこらで買ってきて」という対応。
コンビニで台湾ビールを購入して呑みましたが、これが小籠包と合う。お腹いっぱいになったところでホテルに戻りました。

帰国日の朝は一人で街を散策。

ホテルの朝食がイマイチだったので街のカフェに行って朝食を食べ、お土産を探したりして歩き回りましたが、まあ日本語がよく通じる。

飲食店に入ると日本語メニューが出てくるし、買い物をしたら「小分けの袋は要りますか」と流暢な日本語で聞かれるし、外国感は薄かったですね。

そして一本裏道に入ると流れてくるあの臭豆腐の臭い。
肌が焼けつくような陽射しと共に、良くも悪くも台湾らしさの一つなんだなと思いました。
 
これは書いておかねばならないでしょう、今回の旅で一番ストレスになったのはトイレ。

ガイドブックに「トイレに紙は流さず、横にあるゴミ箱に捨てること」と書いてあったのですが、いくらなんでもホテルは大丈夫だろうと思っていたら、ホテルのトイレにもしっかり「紙を流さないで下さい」と明記されていました。

私は結構神経質なんで、これがたまらなく嫌でした。
ゴミ箱に捨てるという不衛生な行為を想像するだけで便の出が悪くなり、明らかに回数が減りました。
幸いフロントのすぐ上の階だったので、どうしてもトイレに行きたくなったらフロント階のトイレを使うようにしましたが・・・

「ダメと知ってたけど流しちゃった。大丈夫だったよ」という方も居ましたがこれは結果論で、個々のモラルの問題。
私には出来ませんでした。実際フロントで「流してもいい」と確認を取ったにも関わらず詰まってしまった人もいました。

こうした事を含めても、2泊3日という滞在期間はちょうど良かったように思います。
プライベートな旅行で行くかどうかは微妙かなあ。やはりヨーロッパを選ぶような気がします。
    
こうして短い時間ながら台湾演奏旅行は終わりました。

楽器を演奏する行為は何処にいても変わりませんが、こうして街を歩くことで得るその国独特の雰囲気などは人生において大切な財産になると思います。演奏会では台湾の人の熱さを肌で感じ、街を歩いて多少は文化に触れ、濃密で刺激的な3日間でした。この経験が、今後の演奏活動で糧になると信じて、また一歩ずつ進んでいこうと思います。